近年、働き方改革という政府の旗振りの元、プレミアムフライデーの導入や、テレワークの推進が進んでいます。ただし、それらの施策の多くは、労働者のキャリアを狭い範囲で捉えた上でのアイデアであり、多くは大企業正社員向けであることは否めません。日本の法人の9割を占めるという中小企業の従業員や、自営業者にとってはむしろ実感がないと思われます。ただ、そのような方々は、働き方改革の影響を全く意識しなくても問題ないのでしょうか。
12月18日の産経新聞の記事に「経団連、副業・兼業容認へ転換 年初にも方針 働き方改革の一環で各社に検討促す」との見出しがありました。関連情報と合わせると、実態は転換というよりも、兼業を認めない経団連の厳格な今までの姿勢が軟化した印象です。これも表面的には大企業対象の施策に見えるのですが、影響自体は中小企業や自営業者に及ぶことは必至です。これまで就業規則等で、兼業や副業を認められなかったがゆえに、異なるビジネスに手を出さなかった大企業の従業員が平日の夜や週末の時間を使って、本業以外のビジネスに大手を振って参入してきます。また、残業時間カットに伴う収入減や、社会保険料や諸々の税金の額の上昇に伴う手取り額の減少は、参入障壁を一気に下げます。そうなれば、新たなプレイヤーが進出してくる中小企業のマーケット構造は大変革が起き、一つの事業だけでは十分な生活基盤を作る事が困難になるかもしれません。働き方改革に伴う変化に飲み込まれないためにも、キャリアプランを考える意義は益々高まっています。